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特集


ひらめきの月曜日
 
タニシを食べタニシを歌う、厚木で

これ……のぼるのか……

タニシと縁結びで有名、飯山観音

飯山観音の入り口は思ったより小さかった。幅の狭い門を入ってずーっと階段を上って行く。階段が終わると、またすぐ階段が出てくる。正直、タニシ料理でいっぱいになったお腹でこの階段を上るのはきびしかった。

むかし花祭りのときは、このあたりにタニシの屋台がたくさん出たと言う。昔の人もタニシでいっぱいになったお腹でヒーヒーいいながらこの階段を登ったのかもしれない。勝手な想像だけど、そう思って無理矢理がんばった。

登頂!と思ったらまた階段 また階段 さらにまた階段
   
登りきると、ぐわっと目の前に立派なお寺が

たーにしこーとことー♪

いーやのまちへーいかないかー♪

宮城さん。伴奏付きでというお願いにすぐ答えてくれた

ちなみにこれは後で知ったのだが、こちらは縁結びの神様でもあるそうだ。タニシと縁結び。遠いようで遠い二つを結びつけるとはアクロバティックなことをしなさる神様だ。

入り口の狭さに対してお寺は立派だった。パチパチ音がするので、何だろうと思ったらドングリが落ちる音だった。静かだ。

静けさを打ち破る歌声

さて、参拝はすませた。おごそかにカバンからタニシの歌の楽譜のコピーを取り出した。

わらべ歌は、その形を変えて歌い継がれ、広まって行く。今回は「日本わらべ歌全集8」に載っていた「たにしことこと」を歌おうと思う。旅館でお土産に味噌煮を買ったのだが、それにもこれと同じ歌詞が出ていた。

「たにしことこと」
たにしことこと
飯山のまちへ 行かないか
いやなこっとこと
去年の春も 行ったらば
山椒の味噌で あえられた

大人たちがタニシの味噌煮を作るときに歌ったとか、子供たちがタニシを食べるカラスをはやし立てる「はやし歌」として歌ったとも言われる。

タニシに対してコトコトという擬音が妙にマッチしていてかわいい。詩のかわいさに対して、「かごめかごめ」に似たメロディは最後の終わり方も劇的に暗い。不思議な雰囲気のある歌だ。

厚木とタニシというギャップに驚いた最初から前ページのタニシ料理など思い出しながら歌いました。

古賀がタニシのわらべうた
を歌っております。
(tanishi-kotokoto01.mp3)

さらに、これをデイリーポータルZライター陣のなかでギターからピアノまで演奏できる音楽担当、宮城さんに伴奏をつけていただいた。

みなさんもこの機会にぜひとも厚木とタニシに思いをはせ歌ってみていただければ幸いです。

宮城さんによる伴奏
「たにしことこと」
(tanishi-kotokoto02.mp3)

「○○観光で行く、厚木 飯山温泉 タニシを食べて歌う旅」

こんなのを企画して旅行会社に持って行ってくれようか。なんだか今回は普段の特集取材とはやや違うおもむきというか、普通に旅行をしたかのようだった。タニシを食べたのに、タニシを歌ったのに、である。

厚木でタニシが食べられる! というぱっと見、奇抜なようなこの旅がまさかほっこり。厚木のふところの広さがそうさせたのか。東京都在住者としては、箱根まで行かずにいい温泉があることを知れたのは本当よかったです。あ、最終的にタニシと関係なくなってら。

おみやげももちろんタニシで


 

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