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特集


フェティッシュの火曜日
 
オニオオハシの気持ちになってみる

視界はどうか

言うまでもなく、人間の目は前を向いてついているが、オオハシは横を向いてついている。なので単純に比較はできないが、それにしても、こんな大きなクチバシが目の前に伸びているとなると、視界にどんな影響が出るのだろうか。


視界どうこうよりも、ゴムがきつい。

この写真は実際には、顔のかわりにカメラをクチバシに押し当てて撮影したものであるが、だいたいの視界はこんな感じである。なんだか、自分が飛行機になったような気分である。

かなりクチバシを押し上げた場合。片目からはこう見える。
ちょっと下げた場合、両目からの視界。そして夕陽。

・・・。結論としては、「よくわからない」のだった。ヒトとトリ、それぞれの進化の過程、環境への順応の仕方が違うので一概には言えない、というのは最初から、わかっていたことであるが、まあ、どう見えるのか、やってみたかったんですよ。

 

操作性はどうか

さてオオハシは、このクチバシを使っていとも器用にフルーツを食べていた。花鳥園では細切れにされたフルーツが用意されていたが、野生のオオハシは飲み込みやすいようにクチバシでちぎったりもするのだという。あんな大きなクチバシなのに、大きいままでは食べ物を飲み込めないと来た。

では私がやってみるといったいどうなるのだろうか。みかん一房で試してみる。


実はFRPのせいでまだクチバシが臭い。ラリりそうだ。

クチバシの先っちょは見えてない。
ヒョイ、パクッ・・・

彼らは先っちょにくわえた果実を、ちょいちょいっと空中に軽く放って飲み込む。それをやってみたかったのだが、くわえたあと上を向くので精一杯。軽やかに喉元に落とし込むことなどできそうになかった。だいいち今どこにみかんがあるのかわからない。

さて家に帰ろうか。文化的生活はできるだろうか。


タイピングに邪魔だ、クチバシが。
本は読める。ページめくるのにクチバシが使えるね。

オオハシのクチバシがなぜあんなに大きいのか、実はまだその意味はよくわかっていないそうだ。

人間がわかってないんだから、当事者たるオオハシたちにもまったくわかっていない、いないのに生まれ落ちてからあのクチバシは目の前で日に日に大きくなり、一生を共にすることになる。便利か不便か、などと思いもせず。

と、そこから何か気の利いたことを言えればいいのだが、特に言いたいことはない。日々、他の動物は何を考えているんだろうと疑問に思う私は、これからも「ヘンな科学者」のような実験を繰り返していこうと思う。

代々木公園のカラスの大群が、なにやらざわついていた。でも近寄ってはこなかった。

 

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