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特集


はっけんの水曜日
 
「カッコイイ」って何だろう会議

「もっと日常での、ささいな動作で『カッコイイ』ってないかなあと思うんですけど。私は例えば『逆手』ってカッコイイと思うんですけど」


逆手持ち。

「逆手いいですね。あと、うーん……コインの裏表で何かを決める、とかどうですか?」
「……林さんの言ってるのは、まちがった欧米感じゃないですかねー」
「あ、こないだテレビで、ローマの寒中水泳大会を放送してたんですよ」
「ほう」
「水からあがってきた人が、みんなガウン着てるんですよ!」
「おお、カッコイイー!」
「カッコイイー! さすがローマ人」
「日本じゃたぶんタオルとトン汁ですね。
服かあ……私、制服は私は好きなんですよねえ。制服自体が好きなんじゃなくて、制服で機関銃持ってるとか、制服でうんこずわりしてる駅員とか、ありえないシチュエーションがつくりやすいと思うんですよ。
あと、働く人の、業務的な動きもいいですね。機能美で」
「駅員の指差し確認とか?」
「マグロ解体とか。寿司職人が、何度握っても米粒がいっしょとか。カッコイイー。
マニュアル車のギアチェンジとかもカッコイイですね」
「ギターにタバコはさむのもカッコイイです。俺、免許もないし、楽器もひけないし、タバコもすわないので。
あと、美容師の腰にハサミぶらさげる革のやつ、カッコイイと思いますよ」

「あれカッッコイイですねー。あれってガンマンのイメージあるんですよねー」
「チラシ配りのひとが、そのまましてるじゃないですか、アレを。
ハサミって高価で、落としたらダメになっちゃうらしいんだけど。そんな大切なものを腰につけたままチラシ配ってるとこに、ぐっときます」

「大切な武器なのに(笑)」
「美容師さんに知人がいるんですけど、フットサルやったりDJやったり、もう生活がカッコイイんですよ。で、『林さんはどんなイベントやってるんですか?』ってきかれて、『みんなで集って、ピエロのメイクをしてみたり……』って、説明できなくて」
「いやでも、ピエロいいですよ。ピエロが武器もってたらコワカッコイイですよー」


特集「ピエロになって、なにもしない…」より。やっぱコワいです。

「あとそうですねえ……ワインラッパ飲みとか、カッコよくないですか?」
「カッコイイかなー…。
私、会社員の時、徹夜明けで早朝仕事してたら、前日過労で倒れて緊急入院した女の人が、ひとりヒールでカッカッって出社してきて。鬼気せまるものがあって。あれカッコよかったなー」
「怪我してるのに我慢してるとか、弱ってる人が強いっていうのは、カッコイイんですよね」
「過労がカッコイイっていうのは、本当はいけないことなんですけどね」
「目のくまもカッコイイですよね」
「あー。私、顔の中央がへっこんでるんで、エックスにくまができるから、すごいカッコ悪いんですよね……。
あと、乗っちゃいけないものの上に乗る、とかってカッコよくないですか?」
「人の車とか?」
「机の上とかですねー。あとニフティの受け付けとか。
あとは、うーん……最近カッコイイと思ったのは、マドンナですねえ」
「俺はスマップの新しいビデオクリップで、老人ホームを訪問するやつが、かっこいいと思いましたよ」
「紅白の最後で歌ったやつですか?」
「そうですね。……あれ、歌詞の内容的には『さよなら人類』と一緒ですよね」
「……まあ、戦争反対ということで。
そういえばジャニーズの人で、メインの人が歌ってる間、若手の人が中腰で待機の姿勢をするじゃないですか。忍者みたいな格好で。あれけっこうカッコイイと思うんですけど」


なんかこんな感じの(まちがってるかもしれません、マニアの人ごめん)

「東京だと、どこがカッコイイですかねえ。
私はオシャレな街より、新宿とか、殺伐としたとこが好きなんですけど」
「あのー夜に、西武新宿のホテルの上から、白い湯気が出てるじゃないですか。あれ、俺の考えたニューヨークなんですけど」
「あー私、ニューヨーク行ったことありますけど……だいたい同じだと思います。
「あと西口のシャネルの看板とかで、かっこいいスーツの下になにも着てない、みたいのあるじゃないですか。あれいいですよね!」
「ありゃもう外人高級モデルにしか出来ないワザですね…。
林さん、カッコイイ外国ってどこだと思いますか?」
「パリ!」
「あら、王道。じゃあ、もし神様に『カッコイイ好きな人に生まれ変わらせてあげるよ』って言われたら、何になります?」
「YO-KING!」
「YO-KING!? それはあのー、日本人男子のモテ人生を歩みたい、ってことですよね……」
「じゃあ大塚さんは誰ですか?」
「モモレンジャーとかいいな…」
「人間じゃないじゃないですか!」
「あと、あれですよ。俺の好きなこんな著名人に、俺の好きなこんなコスプレをさせたらカッコイイ! みたいの、ないですか? 綾波レイの格好を広末涼子にやってもらう、みたいなやつ」
「陣内孝則が『社長』シリーズをやるといいと思います」
「軽そうだなあ、それカッコイイのかなー。……ああいうちゃらんぽらんな人が実は切れ者スパイ、とかだといいかもしれませんね」
「あと、映画『ホテルニューハンプシャー』のナスターシャ・キンスキー、かっこいいなー」
「ああ、クマの着ぐるみ着たままで出て来ない役の人ですね、ほんとはド美人なのに、っていう」
『『パタリロ!』のバンコランも、かっこいいなあー」
「バンコランて、確か肉しか食べないんですよね。ぶあついステーキとワインを、10分くらいでたいらげる。カッコイイー」
「峰不二子がヘリコプターで逃走づるのもカッコイイです」
「不二子ちゃんとかじゃなくて、普通のおばちゃんとかが、スゴイのやるのカッコよくないですか?
北野武の映画で、普通のハゲてるおじさんが、ママチャリで、いきなりドーンって銃撃って、殺し屋なやつ。あれすごい」
「すごいですねー」
「しかし……ほんとに、いま何がカッコイイんですかねえ」
「新庄ですよ!」
「ええ!?」
「新庄が金色に輝いてる旅行会社のポスター、カッコイイですよ! ポーズもいいし。マンションのCMの『銀座は俺のクローゼット!』ってセリフもいい」
「確かにあの新庄はすごい……」
「すごいですよ…」
「じゃあ新庄カッコイイ、ってことで」

で、まあ。
要するに結論は出ませんでした。
きっと思うに、「カッコよさ」って、株価のように、日々変動するものなのだと思われます。
ああ、カッコよくなりたいぜ。日々精進。
でも新庄みたいにはなれないよー!



 

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