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ちしきの金曜日
 
心霊写真の保管場所を訪ねて

 

千葉県某所

我々は千葉へと飛んだ。2件目のお宅、松本さんの家を訪問するためだ。日が暮れたというのにひどく蒸し暑いのだが、ふと気を抜いた瞬間に小さな悪寒がした。あまり感じのよくない目眩がする。私たちはさっき食べたルマンドのことを少々後悔していた。


不可解な黒い筋が手についていた。
いつの間にかジーンズも色落ちしていた。

道中にある教会

松本さんと合流

駅前で待ち合わせた松本さんもまた人当たりの良い方で、心霊写真を保管しているようには見えない。そんなギャップにグッとくる男性も多くいらっしゃることだろうから、大変おもてになることだろう。

松本さん: 箱根に主人と旅行に行ったときの写真なんですが、背景にあるお店の二階の窓に人の顔がはっきり映っています。でも人間にしては顔が大きすぎるので。ポスターかとも思ったんですが、そういうのが映りこまない角度なので心霊写真だと思いました。

そんな話を伺いながら、松本さんのお宅に案内していただく。


踏み切り
犬を撮ったはずなのだが

 

さっそく収納を拝見

松本さんのお宅に着くと、松本さんの旦那さんが迎えてくれた。センスの良い小物が並び、とてもおしゃれな家だった。挨拶もそこそこに、さっそく心霊写真の収納場所、寝室の一角を見せていただく。

 

このダンボールの中に心霊写真が!

 

「誤字で恥ずかしい」とおっしゃるがめでたくてよい

ご祝儀入れとしても活躍した、おいしいケーキ屋さんの紙袋に


旅行の思い出の中に一枚。アルバムは無印良品のもの。

松本さんの保管場所

ほー、これか。写真は寝室の一角にある段ボール箱の中にあった。雑多に物が詰め込まれているこの箱は引越しのときに使用した箱なんだそう。

そして中にある、ベージュの紙袋。元々はケーキ屋の紙袋だが、その後、結婚式のご祝儀をまとめて入れるのに使ったそうだ。そして今は写真入れに。30cm*28cm*11.5cmの丁度よいサイズは使いまわしが利く。ケーキから祝儀を経て心霊写真。袋の人生ってけっこうすごいな。

大北:写真はすべてここに?

松本さん:ええ、すべて無印のアルバムに入れて、ここに収納しています。アルバムを統一したかったので、無印のアルバムを使ってます。ずっと売ってるのでいいですね。

石川:素材はポリプロピレン…ですかね?

松本さん:多分、そうなんじゃないでしょうか。手触りもつるっとしてて持ちやすいし、半透明になってるので中に何が入ってるのか外から見てもわかりやすくて良いです。

なるほど、理にかなっている。これならいつ再び心霊写真が撮れても同じ形のアルバムが手に入るので整理しやすい。心霊写真、撮り放題だ。そしてわざわざアルバムを開かなくても外から心霊写真だと分かるというのもぜひ真似してみたい。秋冬にマストだ。秋冬でなくとも多分マストだ。(ところでマストってなんだ?)

石川:心霊写真も他の写真と一緒にしていますね。

松本さん:写真は信頼できる人に「大丈夫」と言われたので、そんなに気にしていません。ぞんざいに扱ってます。

大北:信頼できる人とは?

松本さん:何かそういうのに強い人だと思うんですけど、主人が仕事を通じて知り合った方で、初対面なのに今の悩みを言い当てたり。そういう能力のある人なんです。

大北:では置き場所としては、これでフィックス?

松本さん:そうですね。動かす予定はありません。フィックスです。

またもフィックスをいただいた。すでにみんな、心霊写真の収納としてはこれ以上ないというところまで工夫をこらし尽くしているのだろう。向上心。これも心霊写真保管の肝なのだろう。またひとつ勉強になった。

松本さんが描いてくれた米料理をわかっていない外人ゴメス

怪現象〜米料理の分からない男、ゴメスが〜

松本さん:そういえば、この写真は旅行先で撮ったのですが、そのとき珍しく主人が熱を出して寝込みまして。そのとき私は旅館のTVで外人が作る米料理選手権みたいな番組を観ていて、兵藤ゆきが出ていました。あーなんでわたしこんなの一人で見てるんだろう、って思ったのを覚えてます。

大北:米料理?

松本さん:3組くらい出てきて創作料理みたいなのを作るんですけど、日本の人じゃなくて、ゴメスみたいな名前のひげを生やしたような外人とかが出てきて、これ本当に食えるのか?というような料理でした。米を分かってないぞ!ってちょっと怒りながら見てました。

石川:そのゴメスを描いてもらってもいいですか?

ここで描いてくれたのが、左上の絵だ。松本さんの旦那さんがゴメスに大変興味を持たれて、ゴメスの消息を現在調査中だという。でもゴメスって言ったときの松本さんは、明らかに適当に言っていた。そんな奴たぶんいない。


心霊写真を見る松本さん

気を許しました

大北:今見られてるのが心霊写真ですか?

松本さん:見ますか?

大北、大北:いえ、いいです。(怖いので)

松本さん:そうおっしゃらずに。全然、もう、ほんとに怖くないですよ

石川:そうですか?じゃあ…いってみようかな…

松本さん:ほら怖くないでしょう?(と言って写真を手渡す)


こんなの。

 

「怖くないよ」と松本さんの旦那さん(怖いよ!)

「怖い!」と「ケーキうまい!」のせめぎ合い

怖い

ウッ…。と、二人声を詰まらせるほど怖かった。

棚が、とかバカなこと言っててすいませんでした!そう言いたくなるほど怖かった。顔が、顔が。顔が、ちょうでかい顔が。

目の当たりにするとすんごい怖い。

松本さん夫妻はまったく怖がるそぶりを見せないこの写真なのだが、確かにはっきりと、窓のところに顔が映っている。そして人の顔にしてはサイズが大きいし、窓の向こうに何かがあるにしては角度がおかしい。どう見ても、そこにあるはずのない顔だ。

怖いうえに気も遣うのか

「怖いっすね…。」と思わず口に出してしまったのだが、「えー!?そんなことないでしょう?」と松本さん達が反応する。しまった。向こうは怖くないものとしてるからこそ今でも所持して見せていただいてるのだった。怖がってしまっては、再び写真が怖いものになってしまい気を悪くされることだろう。突然ややこしい状況に出くわしてしまった。テレビの話にでも戻そう。

「兵藤ゆきといえばベンチウォーマーですよねー。」と旦那さんが言う。

そんなことどうだっていい!怖い!ベンチウォーマー着てダンスの上手な高校生に会いに行ってる兵藤ゆきをぐっと片隅に押し込み、頭の中は家に帰ったら塩撒くかどうか、塩のありかをずっと想像していた。すいません!ふざけてすいませんでした!と懺悔と後悔。

事故にあったような顔して帰る

予定外にすっかり恐ろしくなってしまった我々は、松本さん夫妻にお礼を言い、そそくさとお宅を後にした。

マンションから出ると救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎていくところであった。来るときはなんとも思わなかった夜道が、肌をざわつかせる。暗がりが気になる。後ろでバン!と音がしてビクッと振り向くと、松本さんがベランダから手を振ってくれていた。

ガックーンと完全にアテられた顔の石川。「夜、寝られるかな…。」とポツリと石川が言い、二人で薄ら笑いを浮かべる。一人で寝られるかどうか。今はそれが問題だ。

 


ちょー怖い

心霊写真の収納場所。そこにはたらく人間心理みたいなものを見てみたいと思い始めたこの企画だったが、意外にも普通に他の写真と一緒にしている人が大半を占めた。そして、心霊写真を怖がっていない人が多かったのも印象的であった。自分が所有していると何度も見るうちに慣れてしまうのか、あるいは長く持っていると、いろんな人にその写真の話をするうちに、悪い写真じゃないと言ってくれる人がみつかってしまうのかもしれない。

しかしだ。心霊写真は目の当たりにすると想像以上に怖い。坊ちゃんたち、寝る前にはトイレ行ったほうがいいぜ。布団に世界地図を描いた後で、これが今回わかったことだ。


夜道怖い

 

ご協力ありがとうございました

取材に協力していただいた方々、どうもありがとうございました。アンケートの結果が気になる方は、こちらのページをご覧ください。とはいえ、こちらはもう棚とか保管場所とか言ってる余裕はなくなってしまいました。怖いんすよ!心霊写真とかもうみんな怖いんす!




 
 
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