石を集めだす
さて、ご飯を食べたらまた元気がでてきた。元気はでてきたのだが、待つ以外にすることがないのに変わりはない。仕方ないので、なにか面白い石でも落ちてないか探すことにした。
子供だ。すっかり子供になってしまった。拾った石に勝手に価値観を与えて楽しんでいる。小学校2年生の頃がそうだった。自然の中で、人は子供に帰るのだ。
いよいよたまってきました
川で転んだりおにぎりを食べたり石を拾ったりしているうちに、お湯が少しずつたまってきた。時間がかかるのでどうしてもぬるくなってしまうのだが、川よりはうんと温かい。
1時間半もかかっただろうか。やっとタライの七分目というところまで湯がたまった。もういいだろう。とうとうぼくだけの露天風呂が完成するのだ。
入浴タイム
さあ、待ちに待った入浴だ。
はっきりいって、ぬるい。ぬるいのだが、悪くはない。 今までの時間が無駄ではなかった。そう思わせる心地よさが、湯舟の中にはあった。
自然と一体になっているこの感じがたまらない。いっそのこと湯舟を川の中に入れちゃおうと思ったのだが、重くて思うように動かせなかったのは残念だった。
なんという開放感であろうか。あんまり開放的な気分になりすぎて予期せぬサービスショットまで飛び出す始末である。 身体に自信があるわけじゃない。でも誰かにみてほしい。そんなジレンマが甘い恍惚となって全身を痺れさせ、腰椎のあたりに小さな疼きがはし……いや違う。とにかく気分は悪くない。 お風呂の良し悪しを決めるのはお湯の温度ではない! これは決して負け惜しみではない。勝ち惜しまずだ!
ずっとこうしていたい。そんな風に感じたのは嘘ではないのだが、
渓流沿いの露天風呂は、考えていたものよりずっと冷たかった。だが、予想していたよりもずっと面白かった。要するに、天気のよい日に川で遊ぶというのはとても楽しい。というわけだったのでした。