糸巻き車方式
会心の一撃、それがこれ、糸巻き車方式だ。
この策はあきらめて会社に向かう電車の中で思いついた。その日は夜から飲み会だったのだが、頭の中はこの工作がうまくいくかどうかでずっと湿っていた。
缶の中だけで重心をうんぬんしようとするから問題が起きるのだ。作用点は外に出してしまえばいい。つまり回転する棒が地面をとらえてその反動で缶が転がる仕組みだ。
しかしここでもやはり電池の重さが障壁となった。電池の重さに引っ張られてしまって、回転が一定ではないのだ。
この問題は缶の内壁に粘土を付けることで解決した。
ここで坂に戻るわけです
完成した転がる空き缶を持って坂道へとやってきた。ここでようやく最初へと戻るわけだ。
さてここで問題です、この坂は上りでしょうか、下りでしょうか。
考えるまでもなく上りだろう。これが下りだったらビルとか斜めに建ってることになる。
そう、ここは都内でも有数の急な坂なのだ。
このくらい明らかに上っている坂でも、空き缶が駆け上っていったら、それは下りに見えるのだろうか。それが試したかったのだ。
最強のお化け坂がここに登場するかもしれない。
しかし缶は、すべりながら坂を下っていった。
缶に惑わされるな
上り坂を空き缶が上っていく。それはお化け坂のようにも見える、なんとなく不思議な光景だった。
いつか棒が外にでていない重心移動式の転がる缶を作ったらまた報告したいと思います。新築の家とかに持っていって「この家、傾いてるぞ!」って言いたい。