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ひらめきの月曜日
 
想いを贈る香り、文香

そういえば手紙書くの初めて

文香を添えて日ごろお世話になっているデイリーポータルZ編集部の担当編集、石川さんにお手紙を書こうと思う。


レター。

便箋と封筒を買いに来て気付いた。俺、手紙書くの初めてだ。今までの人生、手紙というものを書いたことがなかった。手紙って何を書けば良いんだろう。何だかちょっと気恥ずかしい。


こういう時は無難さが重要。

やっぱり暑いし暑中見舞いだろうか。そうと決まれば夏っぽい便箋と封筒を探す。色々なものがあって目移りするがその中から石川さんが好きそうなのはどれかなぁと乙女のような視点で選ぶ。

とはいえ自分の好みももちろん外さず、結局は無難な所に着陸する。朝顔、良いよね。

 

手書きは大変

早速書く前にインターネットで書き方を調べる。アナログなことをしよう!と思ってすがるハイテク技術。


字を書く事はかなり減った。

書式などを調べて、いざ書き始める。が、中々書けない。元々字が下手なのに加えてパソコンの普及で字を書く機会が減って実際に書くと手が動かない。


これでも一生懸命書きました。

字を書く機会は減ったがそのぶん書いた時の重みは増している気がする。子供の頃は字なんて下手で良いじゃんと思っていたが、大人になってそのかっこ悪さにやっと気付いた。


下書きからした。

それでもなんとか丁寧に書こうと下書きをする。もうホント手書きって大変だ。

  • お元気ですか?
  • 僕は元気です。 
  • いつもありがとうございます。
  • これからもよろしくお願いします。

上記のようなことしか書いていないのにかなり時間がかかった。でもその分、書いてる間は何を書こう、どう書こうと文章と向き合い相手を考える。

同じ内容でも手紙を書くのとメールを打つのでは違うものが出来上がる。それはやはり手間の違いだろうか。便利な事は良い事だけど手間をかけた方が込められる何かはあるかも知れない。

 

文香も石川さん仕様に


はい出来た。

手紙を書き終え封筒に詰め、文香を忍ばせる。石川さんはこの香りを気に入るだろうか。と、写真を撮って気付いたが絵が描かれた文香に比べて手作りのものはなんだか味気ない。


85点はいただけるのでは。

そう思って、似顔絵を描いてみたら予想外に上手く書けた。こりゃいいと、上機嫌で手紙を出しに行く。

 

ハイテクに慣れすぎて手紙が不思議


手紙を出すためえーんやこーら。

服を着替え、パソコンの電源を切って家を出る。凄く暑い日で近くのポストに行くだけでも汗が噴き出る。

何かを伝えるために移動するという事が不思議に思える。だって電源を切ったパソコンの向こうでは石川さんが「○○なう」とか言っていて、いつでも話しかけることが出来るのだ。


頼んだぞ、ポスト。

向かっている途中でも携帯電話で電話やメール等で伝えられるのにあえて断ってのお手紙投函。届くのは明日か明後日か。

常に連絡の取れる便利さの中で時間のかかるお手紙は石川さんに何を伝えるのか。楽しみだ。

 

感想聞きました

と、普通ならお手紙は出しておしまいだけれど、今回は石川さんに感想を聞いてみた。事前に連絡しておいて、感想を教えてねと伝えておいたのだ。無粋だけれど感想をお伝えする。

以下文章石川さん(写真コメント筆者)


おぉ、超嬉しそう!!

別の仕事をしていて、席に戻ったら意外に(すいません)きれいな字の手紙が机の上に置いてあったので少しドキドキしました。

尾張さんからだとわかってはいたのですが。

ドキドキガツン中。

開ける前にすみっこの糊をめくって中をチラッとのぞいたところ、そのときに急にいい匂いがただよってきて、そのとき胸の奥にわりとガツンと来まして、これはああやばいこれは恋だ、恋の始まりだ、と思いました。

うれしい、けどこれはアイツなんだよな…

相手が女性だったらひとたまりもなかったと思います。あわてて尾張さんのヒゲメガネを思い浮かべ、平常心を取り戻しました。

でもうれしそうでよかった。

香り云々を抜きにして、手紙が来るのって普通に嬉しいですね。中学生の時、外国(帰国した英語の先生)から手紙が来て嬉しかったのを思い出しました。似顔絵は壁に貼ります!

終始嬉しかったのですが、やはりピークは開封前、中をちょっとのぞいたときでしたね。


人を現す筆跡から、受け取ってから開けるまでのその時間、開けた時の文香の香り、手にとって読むという行為。手紙ならではの体験を楽しんでくれている。

でも、それ以上に「こんなに喜んでくれたのか、嬉しいな」という気持ちが先立った。石川さんを喜ばせたのが香りなのか、文面なのか手紙という物自体なのか、分からないけれどそれで良いと思った。

今は色んな物が発達し簡単にコミュニケーションが取れて、
いつでも繋がっているように思える分、僕自身、一言が気軽に、
薄くなってしまっていたかも知れない。

だからといってこの環境は変わらないし変えられない。でも環境
どうあれ、それを使うのは自分なのでこれからは何かを言う時、
伝える時、一呼吸置いて相手のことを考えてから言うようにしたい。
そしたらなんか良いことあるかなぁ。

もちろん手紙書く時は文香入れるぜ!

お家で調香出来るセットもあった。凄く楽しいよ。

取材協力

山田松香木店
https://www.yamadamatsu.co.jp/index.html
京都市上京区室町通下立売上ル
TEL075-441-1123


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