香りの変化が想像しづらい
全ての材料を指示された分量混ぜてベースが完成。これに更に素材を加えて自分だけの香りを作る。
だが、この時点ですでに人によって香りが違うという。材料をすくう時の微妙なさじ加減などで変わるくらい香りは繊細なものらしい。うん、確かに良い匂いだなって思ったやつを多めに盛ったわ。
すでに人とは違うものになっている香料を、完全に自分好みにアレンジする。好きな香りの材料を加えていくのだ。
ベースを作っている時点で気付いたが、香りを組み合わせるというのは凄く難しい。ほんのスプーン半分ほど材料を加えるだけで全体の印象がガラッと変わる。
良い香りだなと思うもの同士を混ぜ合わせたら良い香りになるかと言えばそうでもなく、逆に自分の好みでない香りを少し混ぜたら凄く良い香りになったりするのだ。
スイカに砂糖かけるより塩振った方が甘くなった。みたいな事が香りでも起きているのだが今の僕には経験、知識がなさ過ぎて、スイカに醤油をかけかねない。
文香の香りはとても優しい
そんな時はもちろん先生が助けてくれる。こういう香りにしたいんです。この材料の香りが好きです。と伝えれば、これを加えればどうでしょう。とアドバイスをくれる。そしてその通りにやると驚くような変化が起きて良い香りになる。
アドバイスを受けながら感覚を頼りに作り上げる。いつもは香水などの香りをずっと嗅いでいると頭が痛くなってくるのだが、今回はそんな事は無かった。
人の手を加えていない材料だからだろうか、香りが「する」のではなく「いる」といった優しい感じ。人工物は悪い!自然のものは良い!と言う気はさらさら無いが「不自然」でない香りは僕の身を削らない。
文香完成!
どうにかこうにか先生の手と鼻を借りつつ納得の香りが出来た。シナモンの香りが好きなので多めに配合し、爽やかな中に甘さがある感じに仕上がった。
なんだろうか、この嬉しさは。香水など、あるものから選ぶのが普通だった香りというものが自分に合わせられる。身近になった気がする。
あと、親ばかのような感じで「俺が作ったの本当に良い香り!」と、思ってしまう。
その自分の香りを使えるようにする。手順は簡単で布の袋に入れて口を縛れば匂い袋。ティーバックのような袋に詰めて紙で包めば文香だ。
調合によって異なるが、これで大体半年から一年は香りが持続するそうだ。防虫のためにタンスに入れるもよし、名刺入れに入れるもよし、バッグや引き出し、使い方はいくらでもある。
また、香りがなくなったら炊いて香りを楽しむことも出来るし庭に撒いたりしても良いらしい。
これは凄く良いもの作っちゃったぞ、名刺も鞄も凄く良い香りだ。と満足したが、文香はやはり手紙で使いたい。実際に手紙を書こうと思う。