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フェティッシュの火曜日
 
高級ことわざ「焼けアメジストにエビアン」

立板に水を高級化する

さあ、最後は簡単な実験で申し訳ないが、シンプルイズベストの「立板に水」である。


ラワン合板に水道水。この粗野!然としたルックスがたまらない

まずは普通の立板に水

ハンズで買ってきたベニヤ板(ラワン合板)は数十円。端を撫でればささくれもれなくプレゼント!といった粗暴なテクスチャがたまらない。

そんな荒くれベニヤ板の真上に位置する、公衆の蛇口よ!数十円の上を、タダだ、タダが流れてやがる!今なにか非常に熱いものを発見したような気になっているが、だめだ、私よ!前フリで芸術を見出してはだめだ!


うわ、これはすごい。信じられないくらいしょうもない。

スラスラと話すたとえがこれか

「立板に水」を調べると「すらすらとよどみなく話す様子」と出てくる。そういえばこのことわざの使用用途は話し方限定だった。

しかし実際に立板に水を流すと、おどろくほどしょうもなくて感動した。世の中に、これほどしょうもないことがあったのか!


高級立板として黒檀の板を用意した

そして水はペリエ。む…ペリエいいぞ。ペリエいいな。

立て黒檀の板にペリエ

板は高級家具などに使用される黒檀の板。黒檀でできた机は高い、とかつて読んだナニワ金融道が耳元でささやいていたのでこれに決めた。

そして水はまたエビアンだと芸がないので発泡性のペリエに。

ああ、ペリエ。村上春樹の小説で主人公が昼下がりにオープンカフェで飲むペリエ。そんな味のないもんやめてほうじ茶飲んで!と舌打ちしていた私が今ペリエを持っている。


ああ、ペリエ。春樹。ペリエを持つ私を主人公に小説を書いてください。

もう、登ってしまおう。今日ばかりはこの格好の良さに登ってしまおう。

お里が、知れた!

ペリエ持ってはしゃいでる時点で河内の小作人の末裔であることが窺い知れたわけだが(ありがとう、GHQ☆彡)、そんな私も今では高級ことわざである。

この高級ことわざで新しい人生を今切り拓くのだ。


シュワシュワ、おお、シュワシュワ!これが高級立板にペリエか!

この可笑しさはなんだろうか

高級な板にペリエがシュワシュワシュワ〜。その様を見つめていると、心の深いところから黄金の哄笑が自然にわき出てきて、ゲラゲラゲラ〜。

黒檀にペリエ?ああ、あれもうシュワシュワ。

今後高級ことわざのことを聞かれたらそう即答するだろう。必要のないシュワシュワがもう、ミニバブルなのだ。ボディコン、ディスコ、へ〜、ハウスマヌカンって服屋の店員のことだったんですか…。バブル時代がこんな公園の片隅で再現されている。


そしてペリエもうまい

木目もなんと美しいことか

思わぬハレが現れた

日常に突如あらわれた非日常。シュワシュワ祭りに美しい木目、爽快な味。黒檀にペリエを流すと、ちょっとした祭りが手のひらで開催された。

人間やっぱりたまにはハレでいかないと気が詰まる。都会に潜むムラ社会の血を確認した次第だ。


黒檀とペリエ、区民会館の裏でも格好の良い私。

高級ことわざ
「立て黒檀の板にペリエ」

意味…日常に突如現れた非日常のたとえ

ああこれはちがう、植木等の「ごくろうさん!」だ

これがヒルズから見た風景だ

「六本木ヒルズに住むのって意外と便利なんですよね。あれだけセキュリティがしっかりしてて設備もいい。そう考えたら割安ですよ。

食事?そんな何万円もする外食なんてしないですよ。築地なんかで魚買ってきて、家にちょっと人呼んで。5000円も出せば十分うまいものが食えますよ。

(食事の後は)うん、やっぱり黒檀立ててペリエですよね。たまにはああいうことしてやらないと、気が抜けないっていうかね(笑)。あのシュワシュワしたのがやっぱりいいんですよね。うん、あれは本当にシュワシュワだなあ。」

これは私の考える「ヒルズに住む人インタビュー」であるが、ヒルズって割安だとか高級な人にしか知らない世界があるのだなと実感した。架空だけど。

高級な風景から紡ぎだされる新しい人生の格言。ミネラルウォーターで米を炊く人がもう一歩踏み出して、焼け石にかけたその時。それは芋を海水で洗うことを覚えたその時と同じような新世界が待っている。

海水で芋か…やべえ、ンまそう!(と同時に舌をペロリーンッ!)


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