今回の発破のターゲットとなる石の総重量はなんと10トン。曙の体重が220kgだから、曙45人分になる。すげー!
とにかく、火薬による発破を2回行ってこの石を崩す。
この難しい発破作業を仕切るのは、川俣工業の親方、川俣強さんだ。
この道35年のベテランで、この山での採石は今年で20年目を数える。
「静電気で爆発する事もあるから、こうやって放電するんだよ」
親方はそう言うと、岩肌に両手をついて見せてくれた。
「今の季節だったらまだましだけど、冬場は特に危ねえから」
「ちゃんと放電しないとな」
「この火薬がここで暴発したら、僕たちは…?」と、僕が聞くと
「まあ、いっちゃうわな」と、一言。
まあ、そうですよね、曙45人分ですものね。
「それから、ここにある石は自然がくれた大切なものだから」
「丁寧に扱わなくちゃいけないんだ」
親方は静かにそう語ると、手際よく発破の準備を始めた。
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