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フェティッシュの火曜日
 
コンピューターの「顔に見える」を検証する


 

 

がんばって顔として見る

 正直言って、コンピューターの考える「顔」は、僕の考える「顔」とずいぶんかけ離れていた。なんたって人と機械だ。立場がちがえば物の見え方もちがう。こりゃ世の中から争いがなくならないわけだ。

 しかし、重要なのは違いを見つけていがみ合うことではなく、お互い歩みよることではないだろうか。まずは相手への理解。あの「顔のようなもの」たち、僕たち人間にもがんばれば顔に見えるのではないだろうか。ロボットと人間が友情をつむぐ、そんな未来をめざして僕らも第一歩を踏み出そうではないか。

 

協議中

『ここが顔』協議会開催

 僕らの未来を明るいものにするため、急遽「『ここが顔』協議会」を召集した。メンバーは僕と、編集部から工藤さんだ。工藤さんはこれまでも数々の「顔に見える」コネタを発表しており(これこれこれ)、顔リテラシーの高さには定評がある。

 この二人で、顔(のようなもの)の写真を見ながら、おのおの「ここが顔」をマジックでなぞっていきます。

 そして今回はゲストがもうひとり、コンピューターと同じメカ仲間として、顔認識機能つきのデジカメにも参加してもらった。

 協議対象は全10顔。はたして、人間はコンピューターとわかりあうことができるのか。 

 

 

みなさんも顔を考えながら読んでください

1.パーキングメーター

 まずはこちら、パーキングメーター。

 真っ先に目を引くのは、メーター下部にある金具の部分。鼻の大きな、コアラみたいな顔がある。工藤さんは無理せずこの部分を顔と解釈。

 一方、僕はと言えばちょっと無理した感のある、左目をクワッと見開いた顔。これには理由があって、ストリートビューのボカシは下のほうだけでなく、メーター全体にかかっていたのだ。そこに忠実であろうとするあまり、かなりつらい表情になってしまった。

 ちなみにデジカメの顔認識も、工藤さんに同意するかたちでパーキングメーターを「顔」と判定。


石川案:ゾンビとかそっち方面の顔

工藤案:コアラみたいな顔。かわいい。


デジカメは親工藤派

 

 

確かに顔っぽい雰囲気はありますが

2.中華の「華」

 この先いくつか登場する漢字のうち、「華」はベーシックな形。左右対称だし、形が複雑なのでいろんな解釈ができる。

 ということで解釈も割れ、僕は線と線の隙間部分を目にして、下のほうに無理やり口を描いた。

 工藤さんは左右の縦線を目にして、無理に口を作らず鼻だけで勝負。確かにこっちのほうが自然な解釈かも。

 そしてデジカメは左右対称の形をあえて生かさず、左半分のみにフォーカス。これがどう顔だというのか、答えを出してもらうどころか疑問は増えるばかりだ。


石川案:けろけろけろっぴってキャラクターありましたね

工藤案:すごい無表情


目とか口とかも表示される顔認識機能がほしい

 


並んだ四角をどう行かせるかがポイントか

3.自販機

 次は自販機だ。一見してまったく顔っぽくなく、難問。両者首をひねりつつも、下の画像のように回答。

 僕のほうは3つの四角を両目と鼻と解釈したが、鼻を勝手に三角にしていてかなりインチキっぽい。一方で工藤さんは、思い切って鼻を省いた。開きっぱなしの口は苦肉の策だったのだが、工藤さんも同じ口を書いてきたあたり、口についてはこれが正解なのかも。

 ちなみに工藤さんは別解として、お札を入れる部分のLED2つを目にする解釈も考えていたそうだ。

 デジカメの顔センサーは反応しませんでした。


石川案:強いて言えば覆面レスラーのマスクっぽいでしょうか

工藤案:これはなんと表現していいか…ワニ?

 

柱の右下あたりの地面にボカシが入ってました

4.地面

 工藤さんの顔リテラシーの高さが際立ったのがこの1枚。

 この場所、ボカシがかかっていたのはアスファルトの上。はっきり言ってただの道だ。見てのとおり、僕の解釈は完全に無理やり。正直、カオのカの字も見えてこなかったので苦し紛れだ。

 一方、写真を見るなり「あー、これは」の一言とともに、スラスラとペンを走らせる工藤さん。聞くと、いまはネットで隠れているが、排水溝のフタの穴が顔に見えるのだそうだ。すごい。写真じゃなくて、自分の中の「顔に見えるものリスト」から正解を取り出してきた。これが顔リテラシーか。ちなみに工藤さんは酔っぱらって外を歩くたびに、この排水溝のフタの写真を撮るそうです。


石川案:ピカソとかは特に意識していません

工藤案:しかもかわいい。へーベルハウスみたい。ハーイ!

 

正直、漢字は苦手

5.「店」

 「華」に続く漢字シリーズ、続いては「店」だ。左右非対称の字形を生かせるかどうかがポイントか。

 と切り出しておきながら、まったく生かせていないのが僕の回答。右の目も無理やりだが、左の目はぜんぜん線をなぞってなくて、ほとんど自分で書いている。

 一方、工藤さんは潔く、片目の顔で勝負。なるほど、この方がずいぶん自然だ。

 そして工藤さんはまたも別解も用意。右を向いたリーゼントの人にも見えるとのこと。なるほど…。

 


石川案:よくみると「華」のときと同じ顔だ

工藤案:口あけて寝てる人。右目だけ半開き


デジカメも顔を認識するも、枠が安定せずかなり戸惑っていた

 

 

 

 
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