有名店を選ぶのってずるい?
持ち寄ったおいしいものは以上なので、僕のお勧めの店に移動する。鼎泰豐(ディンタイフォン)という小龍包が有名なお店だ。
そう、有名なお店なのだ。だって僕も数年前にテレビで知ったお店だから。今までの個人の好みのツボを突くようなセレクトから急に有名、確実な店を紹介する。あれ、俺、なんかずるい?
企画したのに空気読めてないみたいな気持ちになったが考えてたのはここだけなのでもう突き進むしかない。
みんなが食べるまで凄く不安
小龍包を注文して来るのを待つ。なぜだろうか、凄く不安だ。ここの小龍包は美味い。実際自分で何度も食べているから確実だ。けれどもぬぐえぬ不安。
もし気に入られなかったらどうしよう、マズイって言われたらどうしよう。
それは単に個人の好みの違いでそれ以上でもそれ以下でもないのだけれど、これが気に入られなければ自分が否定されるような気にすらなる。どれだけ小心者だ。とも思う。ドキドキしてしょうがないが、平静を装う。うーん、今日はちょっと出てくるの遅いね(笑)。
これは美味い、絶対に美味いはずだ!
そうこうしていると店員さんが小龍包を持ってきた。
そうこれだ、見ただけでわかる。美味い。けれど他の人がどうかはわからない。どうなの、どうなの。
もう俺、必死
小龍包の食べ方は色々ある、上をかじってスープを飲んでから具を食べる。レンゲに載せて皮を破って具と食べる。などだが、僕は破らず口に入れて噛んで破るのが一番だと思っている。
それを伝えても、「いや、熱いやろ」と言って皮を破ろうとするみんな。「お願いお願いお願い!」といってちょっと冷めるのを待ってでも破らずに食べてくれるように頼む僕。
なんならごめんごめんって謝ってたと思う。あの時何に謝っていたんだろうか、何が僕をこうまでさせていたのか。
心のガッツポーズ
さぁ、その小龍包を破らず食べて貰った結果は。
聞かなくても表情を見て分かった。そして嬉しくなった。食べてすぐ、うまーい!となる物じゃ無い。食べて、うなる。味わってあぁ、美味い…となって、次に手が伸びる。みんなそうなってた。
自分が美味いと思うものを他の人がおいしいと感じてくれる。なんだこの喜びは。自分が作ったわけでもないのに美味いと言ってくれると自分が認められたかのように思えてくる。心の中で、ガッツポーズをした。